出入口が昇降機だけの地下シェルターで、閉じ込められた男が刺殺された。しかし、昇降機に乗った者はいない。
状況記録
資産家の御厨は、山奥の別荘の地下に、核シェルターを兼ねた小部屋をつくった。出入口は、地上とつながる昇降機ただ一つで、窓も抜け穴もない。
御厨は友人の旗野と灰谷を招き、「閉鎖空間での一週間の生活を調べる実験」と称して、二人を地下に入れた。食料と水は、毎日、昇降機に載せて送り込まれた。
七日後、地下から旗野の遺体が見つかった。体には何か所も刺し傷がある。灰谷は取り乱して、まともに話せない。
調べると、次のことが確かだった。
- 御厨は、この七日間、一度も昇降機に乗っていない。
- 灰谷も、この七日間、一度も昇降機に乗っていない。
- 凶器になりそうな物は、昇降機で運ばれていない。地下にも、そんな物は一つもなかった。
では、凶器のない地下で、旗野はどうやって刺されたのでしょう?
証拠品
昇降機(唯一の出入口)地上と地下シェルターをつなぐ。窓も抜け穴もない。 遺体旗野。体に数か所の刺し傷。凶器は見つかっていない。 食料の搬入記録毎日、パンと水を昇降機で地下へ送っている。
現場図面
図面
時系列
- 御厨、旗野・灰谷を地下へ。実験を開始。
- 毎日、食料と水を昇降機で送る。
- 地下で旗野が遺体で発見される。灰谷は取り乱している。
ヒント
行き詰まったら、一つずつ開封してください。
ヒント1を開封する
書かれている「乗っていない人」を数えてください。三人のうち、全員が書かれていますか?
ヒント2を開封する
昇降機に乗れる人が一人だけ残っています。
ヒント3を開封する
地上と地下の間で、人が行き来したら、何が起こせるでしょう。
推理する
真相に最も近いものを選んでください。
解決真相
旗野が一度昇降機で地上に出て、そこで刺され、地下へ戻された
答えは「旗野が一度昇降機で地上に出て、そこで刺され、地下へ戻された」です。
問題文は、御厨と灰谷と凶器が昇降機に乗っていないとは書いていますが、旗野については何も書いていません。旗野は実験の途中で耐えきれなくなり、昇降機で地上へ出ました。待っていた御厨は、そこで旗野を刺し、遺体を地下へ送り返したのです。凶器は最初から地上にあったので、運び込む必要がありません。
見えている条件を並べるとき、「誰について書かれていないか」に目を向けると、見落としが減ります。
推理ポイント
- 条件の一覧に「抜けている人物」がいないかを確かめる
- 「閉じ込められた」という前提が、本当に最後まで成り立っていたかを疑う
- 凶器が運ばれていないなら、凶器のある場所で事件が起きたと考える
なぜ騙されるのか
三人のうち二人と凶器にだけ「乗っていない」という断りがあるため、読む人は無意識に「旗野も乗っていない」と補ってしまいます。書かれていないことを、書かれていることのように扱ってしまうのが罠です。
類似トリック
- 「書かれていない人物」が犯人のカギになるタイプ
- 閉鎖空間を出入りした人の「抜け」を探す密室推理
この未解決ファイルが好きな方は